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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

背が高い=モテるとは限らないんです!(アフリカでは)

The illusion of a universe in our own back yard.
(Mind Hacksより)


一般的に背が高い男性は低い男性より、体格のいい男性は貧相な男性より
女性にモテる確率が高いと思いますが、イギリスで行われた研究ではそれを
支持するように、女性の方が男性よりも背が高いカップルの数はランダムに
男女をペアにしたときにそうなってしまう割合よりも低かったとか。


つまり、男性の方が女性よりも背が高くなるように、何らかの意図あるいは
淘汰圧が働いていると考えられるわけです。進化心理学では「より強い子孫を
たくさん残すためにより強いパートナーを求めるよう進化してきたため」と
解釈されています。


ところが、タンザニアに暮らすハヅァ(Hadza)族にとっては、背の高さや
体のサイズはあまり重要ではないようで、女性の方が男性よりも背が高い
カップルの割合は8.2%でした。これはランダムに男女をペアにした時に
できる割合とほとんど変わらないのだそうです。


というわけで、背の低い男性はタンザニアに行くといいと思います。





…。




ではなくて、この研究が意味しているのは、我々が「一般的」と思っている
感覚は意外と文化によるバイアスがかかっている、という事です。


例えば体のサイズとカップルの関係については、欧米の大学生たちの報告や
アメリカの企業広告などがその根拠になっているのだとか。そのほかにも
こちらの論文(PDF)では、ミューラー・リヤー錯視の見え方や経済ゲーム
における戦略、空間認識の仕方などで文化による違いが見られることを
報告しています。


心理学や脳科学の論文の多くは大学生を被験者として実験を行っていますが、
ここまでの話を踏まえると、大学生という限定された被験者集団で見られた
特殊な結果だけで一般的な結論を出してしまうのは早計である、といえます。
ハヅァ族についての研究を行った研究者たちも「人類全体における一般的な
傾向を見つけるには、WEIRD [Western, Educated, Industrialized, Rich
and Democratic] な集団は小さすぎる」と述べています。


こういう文化的なバイアスに限らず、私たちはステレオタイプを持って
物事を見てしまいがちですが、これは初めて見る人や物でも大雑把に
良し悪しを判断する材料になるという点では役に立ちます。
でもあまり度が過ぎると偏見になってしまうので、自分の常識は世界の
常識と勘違いしないように気をつけないといけないですね。