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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

自分の研究を上手に伝えるために。

Scientists talking to the public: is there anyone out there?

Nature Neuroscienceの今月号から、書評ではありますが
あまりにタイムリーだったので。


Am I Making Myself Clear? A Scientist's Guide to Talking to the Public.
Cornelia Dean. Harvard University Press: 2009 288 pp. $19.95
(Googleブック検索)


今回の事業仕分けによって、かなりの研究者が世間に対するアピールの重要性に
ついて考えたのではないでしょうか。全国各地でサイエンスカフェが行われ、
また科学技術コミュニケーションの専門家も現れるようになったとはいえ、やはり
研究者本人が講演やテレビ出演をする機会など、お茶の間に上手くアピールする事が
必要になる場面はこれから先増えるに違いありません。


どうして研究者が世間にアピールする必要があるかについては、説明するまでもない
でしょう。事業仕分けで行われたようなことを、書評を書いたカリフォルニア大学の
Dario L Ringach教授も心配しています。

If the public and policymakers do not hear the voice of scientists, if they are not presented with the facts, it may only be a matter of time before a large segment of the public will be asking why are we doing (and why they are paying for) such work.


この本は、元ニューヨークタイムズの編集者でジャーナリストのDeanさんが、
研究者に向けて世間へのアピールの仕方、重要性などについて書いたものです。


本のいくつかの章ではメディアとの接し方について割いていますが、一番の
ポイントは事前の準備のようです。ほかにも、

  1. 最も大事なところは何かを考え、それを短く伝えられるようにする。
  2. 実際にアピールする時には聴衆がどういう人達かを考え、専門用語は避ける。
  3. 家族や隣人、近くにいる人を相手に自分の仕事を説明する訓練をする。

などなど。


ほかにも、話の仕方、キャッチコピーや”名ゼリフ”のような短いけれども
インパクトのある表現、テレビやラジオに出たときの効果的なアピールなどに
関する小ネタも含まれているようです。


これから先、科学に対する風当たりはますます厳しくなると思います。
こういった本で勉強して少し世間へのアピール力をつけておくのも
得策かもしれません。Googleブック検索で見たら文字が大きくて、
1ページに書かれている文章もそんな多くないので読みやすいかも。



"Scientists should participate actively, even avidly, in policy debates. Indeed, both as educated citizens and as professionals with relevant knowledge, scientists ought to feel obligated to contribute to policy making in their communities, in the nation and even in the wider world".


(科学者は政策論議にもっと貪欲に参加すべきである。高い教養を持った一市民として、また正しい知識を持ったプロフェッショナルとして地域や社会、そして地球全体における政策決定に自分が参加しなければいけないと思うべきだ。)


American Association for the Advancement of Science (AAAS)のミーティングで主催者の一人であるSherwood Boehlertが述べた言葉。

"Scientists are by every measure the most respected people in America. They are listened to. But if the public and policymakers never hear your voices, never see... science, never understand its methods, the chance of its being high on the list of national priorities will be very low. [...] You can sit on your fingers or you can go outside your comfort zone and get into the game and make a difference for science. Neither we, nor AAAS, nor any other group can do it all for you. Science needs you. Your country needs you. America needs you... fighting for science!".


(アメリカにおいて、科学者はどこから見ても最も尊敬される人々だ。しかし、もし世間や政治家たちが科学者の意見を聞かず、研究成果も見ず、その方法を理解しないままだったら、科学の立場はいずれ低くなってしまうだろう。(中略) あなたは傍観することもできるし、あるいは積極的に外に出て働きかけることもできる。私も、AAASも、そしてほかの誰もあなたのために動いてはくれない。科学はあなたの働きを必要としているのだ。あなたの国も。アメリカも。(中略) 科学のために戦おう!)


Boehlertの同僚で元共和党議員のJohn Porterの講演より。