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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

これはひどい…


川島教授の全脳トレ
Yahoo!ケータイ向けコンテンツ)






















まず第一にツッコむべきところは、

『川島教授の全脳トレ』では、脳の3つの部位、つまり全脳をトレーニングによって活性化させます!


・全脳と銘打っているのに後頭葉が抜けている。


信じられないですね。これはひどい。
監修者として名前出して大丈夫なんですか。
脳科学者としての信用問題では?




そして、必然的にこのアプリで対象にしているのは前頭葉、頭頂葉、側頭葉ですが、

前頭葉:
思考・判断・創造性・社会性などを司ります。前頭葉を鍛錬することで、順序だてた思考や分析能力などが向上します。

思考や判断、創造性や社会性には前頭葉だけが関わっているわけではないと思いますが。
そもそもどうすれば鍛えられるのか分かっているのでしょうか?また鍛錬によって思考や
分析能力が向上するというのは何かデータがあるのでしょうか。



頭頂葉:
動きの情報や三次元的な形態、空間の認識を司ります。頭頂葉が処理する、動きや空間の認識は、スポーツや手仕事には、とても重要です。

確かに重要です。というか、スポーツや手仕事だけでなく生きていくために重要です。
動きや空間の認識が出来なかったら歩くことすらできませんから。そして、「動き」の
情報処理と言って有名なのはMT/V5ですよね。あれは頭頂葉とは呼べないでしょうから、
頭頂葉にはどこか別の関連した部位があるのでしょうか。
(これは単に私が知らないだけかもしれませんが)
あ、ついでに豆知識として書いておくと、時間的な情報の処理にも頭頂葉が関連して
います。前頭葉も側頭葉も。



側頭葉:
色や形の判断と記憶を処理し、ものが何であるかを理解します。芸術活動には、側頭葉の働きが、とても大切です。ひとの顔を覚えたり、地図を読んで理解するのにも使われます。

"ものが何であるかを理解"するのに、頭頂葉の欄に書かれている"三次元的な
形態の認識"は必要ないんでしょうか。そしていきなり芸術活動が出てきました。
仮にも音楽の脳科学をやっている身としては、ここには噛み付かざるを得ません。


芸術活動では脳のいたるところが活性化されます


例えば音楽の場合、楽譜を見れば後頭葉が働きますし、楽譜に書かれた音を弾けば
頭頂葉の運動野が働き、自分の音を聴いて側頭葉が働きます。もう脳の至るところ
が活性化されるわけです。"芸術活動には側頭葉の働きが…"などとなぜ言い切れる
のかさっぱり分かりません。



そしてアプリの説明には、

ブレインイメージング研究の第一人者である東北大学川島隆太教授監修のもと、脳の活性化に効果があると認められたトレーニング問題ばかりを搭載したアプリです。

と書かれ、第1巻から第10巻までいくつかのゲームが紹介されています。
"脳の活性化に効果があると認められた"らしいのですが、何か論文になったり
しているんでしょうか?まさか教授が「よし、認めよう!」と言っておしまいでは
ないですよね。


これまでの脳トレについても批判的な人たちは結構いましたが、私自身はそれほど
ではありませんでした。教授もエセ科学的な方向に行かないよう気をつけている、
みたいな事を聞いたこともありますし。一応自分の置かれている状況が分かっていて
それに気をつけて振舞っているように感じていました。しかし今回のはひどすぎますね。
ちょっと金儲けの方向に傾きすぎではないですか?むしろ、教授という立場の人こそ
こういう胡散臭い商品を批判するべき人だと思うのですが。