90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

[]日本で音楽について研究できる機会

タイトル通りですが、一体どれだけあるかちょっと調べてみました。
まずは「音楽をテーマとした研究をしている研究室」から。


中島研究室ホームページ
音楽というよりは広く聴覚を対象としていますが、心理学の世界ではよく知られた方ですね。
ホームページも「聴覚心理学入門」「聴覚デモ」といった読んで面白くやってみて面白い、
という充実した内容になっています。関係ないですが、所属は「九州大学芸術工学府」
になるのでしょうか。「府」という単位は初めて聞きました。


東北大学音楽音響医学分野
よく読んでみると、こちらは音楽療法のイロハを学べるのではなく、すでに音楽療法
行っている経験者に対して大学院レベルの医学教育をしようという方針のようです。
教授の挨拶文から想像すると、合う人合わない人に分かれそうな気配ですが…


北海道大学文学部/文学研究科 人間システム科学専攻心理システム科学講座安達研究室
こちらは音楽の心理学を前面に出している研究室みたいです。演奏者と聴取者の
コミュニケーションや初見演奏のメカニズムなど、かなり面白そう。


脳科学の分野で音楽を研究対象としている研究室はなかなか見つからないのですが、
MEGを用いた研究で知られる東大の武田先生や北大の栗城先生などの名前が入った
論文は時々見つかります。





さて続いて、学会・研究会関係では。


日本音楽知覚認知学会
ある意味とてもセンスを感じる名前だなーと思っているのですが(特に略すとね)
音楽学、音響学、心理学、情報科学など音楽に関連した領域を含んでおり、
カレンダーを見るとけっこう研究会などを開いているので、押さえておくべきかと。


社団法人日本心理学会音楽心理学研究会
2008年に心理学会の下部組織になったということですが、活動記録を見る限りでは
音楽心理学に関連した洋書の輪読がメインのようです。Deutschの「Psychology of Music」は
邦訳がありますが、Peretz & Zatorreの「The cognitive neuroscience of music」などは
まだ出ていないはず。こちらでの活動から邦訳が出たりしないでしょうか(笑)


聴覚研究フォーラム
こちらは研究集会的な集まりですが、同志社大学の力丸教授が主催しており、
毎年12月に琵琶湖のほとりで週末1泊2日の合宿形式で行っています。
私も以前数回参加しましたが、研究室の学生さん達が主体になっているためか、
いい意味でゆるい感じが出ていてとても気に入っています。「あー、学生のノリって
こういう感じだよなー」と行くたびに感じていました。とはいえ、口頭発表は英語だし
海外からの研究者も来ますし、内容的にも充実していると思います。






といった感じですが、もっと音楽を大々的に研究する研究室が増えてほしいなー、と
思っています。もちろん私の目標もそんな研究室をつくる事ではありますが、それは
まだ長い長い道のりですね。差し当たっての目標は音楽研究者同士の横のつながりを
作る、あるいはそれに加わる事でしょうか。もしこのブログをお読みになった方で
何か情報をお持ちなら、教えていただければ幸いです。