90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

音楽の脳科学に関する論文集 vol.37

Investigating brain response to music: A comparison of different fMRI acquisition schemes.
Neuroimage. 2010 Aug 19. [Epub ahead of print]
Mueller K, Mildner T, Fritz T, Lepsien J, Schwarzbauer C, Schroeter ML, Moeller HE.


言語や音楽を刺激としたfMRIの研究では、スキャナーから出る大音量のノイズに
どう対処するかは頭の痛い問題です。何も考えずにそのままスキャンしたら、
ビビビビビという大音量で刺激が聴こえないというオチにもなりかねません。


この問題を回避するためにSparce Temporal Sampling (STS)という方法を
使う研究もありますが、実際のところ普通に撮るのと比べてこうしたテクニック
はどれだけ効果があるのよ、というのを調べたのがこの研究です。


STSは刺激を聞かせている間はスキャンを止めてしまう方法(詳しくないので
間違っていたらすいません)ですが、この方法ともう一つInterleaved Silent Steady State
(ISSS) という新たに考案した方法、そして何もせずに撮像するという3種類で
聴覚刺激に対する脳活動を測定したところ、ISSSが最もよかったという結果です。


要は自分たちで開発したテクニックのアピールというわけなんですが、
音を使ってfMRIを撮ろうと考えている人なら読んで損はない論文ですよね。




Neural mechanisms involved in the oral representation of percussion music: An fMRI study.
Brain Cogn. 2010 Aug 18. [Epub ahead of print]
Tsai CG, Chen CC, Chou TL, Chen JH.


パーカッションの音を説明するのは難しいですが、ドゥンとかパンとか
タラララとか無意味な音節を使って表現しますよね。この研究は、
この音と口の動きとのインタラクションは脳のどこで処理されて
いるのかを調べたもので、パーカッションの音と言葉での表現
とをマッチングするのにはright Planum Temporaleが関与し、
音と口や喉の動きとのマッチングにはleft Middle Premotor Cortexが
関与しているという結果です。


ボイスパーカッションか!と思って飛びついてみたんですが、
よく考えるとちょっと違いましたね…





Effect of Sertraline on Current-Source Distribution of the High Beta Frequency Band: Analysis of Electroencephalography under Audiovisual Erotic Stimuli in Healthy, Right-Handed Males.
Korean J Urol. 2010 Aug;51(8):550-6. Epub 2010 Aug 18.
Lee SH, Hyun JS, Kwon OY.


これはなぜかPubMedアラートに含まれていたものの、音楽とは
関係ありません。タイトルを読んで察していただければ。


何かのネタとしては使えるんじゃないでしょうか。(笑)