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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

音楽の脳科学に関する論文集 vol.38

PubMedのメールアラートを見ていたら、Journal of Clinical Nursingという
雑誌からの論文がたくさん見つかりました。どうやら、4月号において
補完医学・代替療法についての特集が組まれていたようで、そこでの
音楽療法についての論文をアラートが拾ってきたようです。


私は音楽療法について素人なので、あまり内容まで踏み込んだ論文紹介を
すべきではないかと思って最近は紹介を控えています。しかしこういった
分野の特集というのは珍しいんじゃないかと思うので、まあタイトルくらい
ならいいですかね。



The effect of a music programme during lunchtime on the problem behaviour of the older residents with dementia at an institution in Taiwan.
p.939–948
Fang-Yu Chang et al.


Effects of music intervention on physiological stress response and anxiety level of mechanically ventilated patients in China: a randomised controlled trial.
p.978–987
Lin Han et al.


The effects of music on physiological responses and sedation scores in sedated, mechanically ventilated patients.
p.1030–1039
Boukje M Dijkstra et al.


Effects of listening to music on postpartum stress and anxiety levels.
p.1049–1055
Ying-Fen Tseng, Chung-Hey Chen and ChihChen S Lee


A preferred music listening intervention to reduce anxiety in older adults with dementia in nursing homes.
p.1056–1064
Huei-Chuan Sung, Anne M Chang and Wen-Li Lee


Effects of music therapy on labour pain and anxiety in Taiwanese first-time mothers.
p.1065–1072
Yu-Hsiang Liu, Mei-Yueh Chang and Chung-Hey Chen


Pivotal moments and changes in the Bonny Method of Guided Imagery and Music for patients with depression.
p.1139–1148
Mei-Feng Lin et al.




そして、そのほかの雑誌からもご紹介。


Focal dystonia in musicians: phenomenology, pathophysiology, triggering factors, and treatment.
Med Probl Perform Art. 2010 Mar;25(1):3-9.
Altenmueller E, and Jabusch HC.


長年に渡る腕や指の酷使によってジストニアになる音楽家は全体の約1%にもなり、
多くの場合、その後音楽家として生きることを断念せざるを得ないそうです。
この論文では、その原因や治療の可能性について述べています。


ジストニアが起こる原因は未だはっきりしていませんが、可能性として脳における
抑制性回路の働きが低下する事や、過剰な学習によって機能的に変化しすぎた
脳部位がほかの機能にまで干渉するようになることが考えられています。
疫学的な調査からはよく使う腕や指に起こりやすいことや、心理学的な検査からは
完璧主義で心配性の音楽家に起こりやすいことが報告されており、また遺伝的な
影響もあるかもしれないということです。


こうしたことから、個人個人の症状に合わせて薬物やトレーニングなど色々な
治療法をテーラーメイド的に行うことが効果的かもしれません。




Effects of using relaxation breathing training to reduce music performance anxiety in 3rd to 6th graders.
Med Probl Perform Art. 2010 Jun;25(2):82-6.
Su YH, Luh JJ, Chen HI, Lin CC, Liao MJ, and Chen HS.


緊張したときには深呼吸すると良いと聞きますが、音楽発表会での演奏における
緊張度合いに呼吸法のトレーニングがどれだけ効果的かを調べた研究です。


具体的にどんな呼吸法なのかはアブストに書かれていませんが、発表会の
2ヶ月前からトレーニングを始め、1ヶ月前・30分前・5分前と緊張度合いを
測定しました。演奏会5分前の緊張度合いは30分前よりも低下していた
のですが、発表会が近づくにつれて緊張度合いが増していく、という傾向は
変わらなかったようです。


いかにして緊張を減らすか、というのは誰にとっても大きな問題ですが、
個人的な印象としては、それよりも大きな緊張する場面を経験するといい
気がします。例えば国内学会で発表するという場合、国際学会で発表を
する前とした後では全然気持ちの余裕が違った覚えがあります。






人間は恥かいて大きくなっていくもんですから、失敗を恐れずにドンドン
緊張していきましょう。明日からの神経科学学会で発表する方々は
がんばってください!(≧▽≦)