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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

研究者もつらいよ…

2010 Life Sciences Salary Survey
(The Scientistより)


The Scientistから、アメリカの研究者業界における経済的な状況について
調査を行ったというニュースです。この調査は10年来行っているのですが、
今年は前年度よりも給料が下がっている傾向が見られたそうです。


調査はインターネットを介して行われ、The Scientistの購読者にメールや
広告で参加を促したところ、6776人から回答が得られました。回答からは、
給料やボーナスの減少に留まらず、雇い止めや給料カットの強制などに加え、
生活費やラボ運営費の上昇によって、研究者を取り巻く経済的な環境も
ラクではなくなってきていることが明らかになっています。


記事には、あるポスドクは家族を養うために2台目の車を売ったとか、
ラボ運営をスムーズにするためには3つか4つのグラントを取らないと
やっていけないとか、PIは仕事にかける時間の20%をこうしたグラントの
申請に費やしているという例が挙げられています。


また、研究分野によって経済的な状況は違うようで、生態学やウィルス学など
は2万ドル以上(総額で?)の給料の低下が見られた一方、バイオ系の分野や
神経科学では増加しています。これは市場における需要と供給の関係が大きく
影響しており、バイオ系の分野では競争が激しく、優れた人材を確保するために
給料を下げるわけにはいかない、というのが理由の一つとして考えられます。


こうした給料の増減による影響を最も受けやすいのはやはりポスドクですが、
調査によると年収でおよそ37740〜52068ドルをもらっているようです。
この金額は地域によってはちょっと少ないようで、生活費を稼ぐためにバーで
アルバイトをするポスドクもいるそうです。


さらにアメリカを覆う景気の低迷は、退職後の事を考えるPIにとっても心配な
ことのようで、退職するよりもこのまま働く方が経済的メリットは多いようです。
現在81歳の大学教授は、もともと75歳で引退しようと考えていましたが、
退職後の経済的な不安から引退することを止めたそうです。






この調査によるとアメリカのポスドクの給料は3万ドル以上ということですが、
日本と比べるとどうなのでしょうか。私が以前いたところではこれより低かった
ですが、一人なら十分に余裕ある生活を送れました。結婚したり子供がいると
キツイなというくらいではありましたが(苦笑)。でも、民間企業の中には
一人で暮らすのもやっとという給料のところもあることを考えると、好きなこと
をやってこれだけもらえれば御の字だなと思います。




さて、このThe Scientistではここで紹介した調査だけでなく、「Best Place to Work」
という職場環境についての調査を現在行っています。調査はポスドク、企業研究者、
そしてフルタイムの研究者それぞれに分かれており、結果は来年3月に発表される
そうなので、興味のある方はアンケートに回答してみてはいかがでしょうか。