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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

音楽への感動とドーパミンの関係

先週のNature Neuroscienceに、好きな音楽を聴いたときに感じるChill response
(鳥肌感とでも訳せばピッタリ?)と脳内の報酬系から生じるドーパミンとの関係
についての論文が出ましたが、2つの科学系ニュースが取り上げていました。


Musical pleasure
(The Scientistより)
Musical Chills Related to Brain Dopamine Release
(Scientific Americanより)


本当は先週末に読んで記事にしようと思ったのですが、ついダラダラと過ごして
しまいました。論文の要点としては、音楽を聴いている際にドーパミン放出が
増加する部位をPETで測定し、さらにfMRIでその部位における脳活動を見たと
いうものです。PETのデータからは報酬系と呼ばれる快の感情に関連した脳部位
の活動が見られたのですが、これ自体はよく知られています。面白いのはfMRIで、
報酬系の中でもCaudate nucleusでは感動的な場面の直前で活動増加が見られた
のに対して、Nucleus Accumbensでは感動している最中の活動が増加していました。





さらに、Caudate nucleusでのPET信号強度の変化は音楽を聴いている最中に
chill responseを感じた回数と相関している一方で、Nucleus Accumbensの
信号強度はchillの大きさと相関していたり、chillが見られなかった場合でも
Nucleus AccumbensのBOLD反応が被験者の音楽に対する快の感情評価と
相関していたりと、それぞれどれを取ってもひとつ論文に出来そうなデータが
バンバンと出てきます。まさに入れ食いという感じ。


結論として、音楽を聴いて生じる感情的な変化に伴う報酬系、特に基底核
活動はdorsal partとventral partでそれぞれ感情的な変化の「予測」と「体験」
に関係しているという可能性が示されました。


論文では、音楽においてヤマ場の直前にテンポを遅くしたり音楽を止めたり
するのは、こうした「予測」と「体験」という2つの段階を上手く利用するため
ではないか?という考察もされていますが、あり得そうな話です。


いやこれはなかなか面白い論文ですよ。