90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

ちょっと古いニュースですが…

月日が経つのは早いですねぇ(しみじみ)
気が付いたらまた2週間経っていました。
先週は大阪まで研究会に行こうとしたら、まんまと道に迷って
挫折してしまいました…


Music Changes Perception, Research Shows
(Science Dailyより)

ScienceDaily (Apr. 27, 2011) ― Music is not only able to affect your mood -- listening to particularly happy or sad music can even change the way we perceive the world, according to researchers from the University of Groningen.

音楽の持つ雰囲気(悲しい音楽や楽しい音楽)が我々の感情に
影響を与えることは色々と言われていますが、それに伴って
我々の知覚も影響を受けることを示した研究を紹介しています。


スマイリーマーク(悲しい顔か笑顔のどちらか)がノイズの中に
ぼんやりと見えるような刺激を見せてどちらの表情が見えるか
答えさせる実験において、BGMとして楽しい雰囲気の音楽と
悲しい雰囲気の音楽を流したところ、悲しい音楽のときには
笑顔のマークを、楽しい音楽のときには悲しい顔のマークを
見つけることが難しくなりました。


また、実際にはスマイリーが見えないはずの場合でも、楽しい
音楽がBGMとして流れる場合には笑顔のスマイリーが見え、
悲しい音楽が流れる場合には悲しい顔のスマイリーが見えると
答える割合が多かったそうです。


著者であるJolij博士によると、意識的な知覚(この実験であれば
見ようと意識して見る場合のこと)というのは、実際に受け取る
感覚的な刺激と、脳内で記憶や経験によって作られる期待との
比較の結果として出てくるものだということです。
そして実験結果は記憶や経験だけでなく、音楽の持つ雰囲気に
よっても我々の期待が影響を受けることを示しています。



Universal Property of Music Discovered
(Science Dailyより)

ScienceDaily (Mar. 25, 2011) ― Researchers at the Institute for Logic, Language and Computation (ILLC) of the University of Amsterdam have discovered a universal property of musical scales. Until now it was assumed that the only thing scales throughout the world have in common is the octave.

世界には様々な種類の音楽があり、またそれぞれユニークな音階
を持っています。これらは一見すると全然違うものに思えますが、
実は共通した特徴があるということを示した研究を報告しています。


convexやらster(star?)-convexというがすでに理解できないので
具体的にどういう共通性があるのか分かってないんですが(汗)、
とりあえず世界中から1000種類を越える音階を集めて分析したら
そのうち97%においてstar-convexのパターンが見つかったそうで。
面白いのは、伝統音楽からの脱却を意図して作られることが多い
現代音楽でも、同じようなパターンが見られたそうです。


著者たちはこの共通性についてconsonance(協和感)ではないかと
考えているようですが、同じような結果は言語や視覚認知でも
見られるそうで、音楽だけでなくむしろ認知一般における共通性
かもしれないと書かれていますが、果たして…