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90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

音楽の脳科学に関する論文集 vol.63

 

Model of music cognition and amusia (Free Access)

García-Casares N, Berthier Torres ML, Froudist Walsh S, González-Santos P.

Neurologia 2013 Apr;28(3):179-86.

失音楽症の症例報告のレビューを中心として、音楽認知のモデルについて考察した

レビュー論文です。ふむ、これは読んでみたい。

 

 

Two randomized trials provide no consistent evidence for nonmusical cognitive benefits of brief preschool music enrichment (Free Access)
Mehr SA, Schachner A, Katz RC, Spelke ES.

 PloS one 2013 Dec 11;8(12):e82007.

 

就学前の児童に対して音楽教育を行うことで、ほかの認知能力が向上するという

報告はいくつかあり、以前にレビューしたこともあります。しかし向上しないと

いう報告もあり、なかなか結論は出ていません。

 

今回の研究では、音楽教育の評価方法として、いくつかの先行研究で用いられた

IQではなく、視空間情報や数的判断、語彙など特定の能力について6週間の短期的な

音楽教育の影響を調べました。最初の実験では同じく6週間の美術教育を受けた子供

と比べて空間認知についての能力が高いという結果が見られたものの、2つ目の実験

では何もしない統制群の子供たちとの違いが見られず、2つの実験を合わせると結局

美術教育との違いも見られなくなったという、音楽教育による認知能力の向上には

否定的な結果になりました。

 

 とはいえ、参加人数が20~30人という小規模な実験ではなんとも言えないですが…

 

 

Influence of music on streroid hormones and hte relationship between receptor polymorhisms and musical ability: a pilot study (Free Access)

Fukui H, Toyoshima K.

Front Psychol. 2013 Dec 3;4:910.

 

音楽とホルモンの関係をずっと研究されている奈良教育大学福井一教授の論文です。

21人の男女を対象として、好きな音楽と嫌いな音楽を聴く前後で唾液中に含まれる

ステロイド系ホルモン(テストステロンエストラジオールコルチゾール)の量を

測定しました。また、DNAからアンドロゲンバソプレシン受容体の遺伝子型を

調べました。どちらの音楽を聴いた後でも男女ともにコルチゾールの量は低下し、

また男性ではテストステロン量の低下とエストラジオールの増加が見られました。

一方、女性では音楽の好き嫌いによってテストステロンとエストラジオールの増減に

違いが見られました。参加者の音楽能力はAdvanced Measures of Music Audiation(AMMA)というテストで調べられ、この成績とアンドロゲン受容体の型の

違いに関連性が見られました。

 

音楽能力とテストステロン、アンドロゲン受容体などの関連性について調べた最初の

研究だという事ですが、ちょっと結果が複雑でこのままでは解釈が難しいですね。