音楽の脳科学に関する論文集 vol.69
えー、どうも、天災と並び称されるほど忘れたころにやってくるブログの更新です。
結局ほぼ1年更新をしていなかったのですが、それでもなぜか月に100人以上の方にアクセスしていただき、非常に心苦しく思っていました…
まあ、そのほとんどはReadCubeとMendeleyの記事へのアクセスだったのですがね。ReadCubeは最近さらに便利になったとか?なので、近いうちにまた触ってみたいと思います。何かお役に立てそうな機能があったら、こちらで紹介させていただこうかと。
さて、4月からもとりあえず1年は生きていける事が決まりましたので、生存報告とともに、久しぶりの論文紹介です。
Novembre G, Varlet M, Muawiyath S, Stevens CJ, Keller PE.
音楽はほぼ全ての地域に存在する、という音楽の普遍性については多くの研究で報告されていますが、この理由は分かっていません。また、これに関する研究も音楽を聴くことに対するものが多く、訓練や経験が必要となる演奏や、共演者との関係性についてはあまり注目されてきませんでした。
この論文は、音楽演奏と共演者との相互作用について音楽経験のない非音楽家を対象として研究することができるように、新しい実験装置を作ってみたというものです。
装置は手回しオルゴールを真似たもので、決められた曲しか演奏できないようですが、その速度を被験者自身が調整できるようになっています。二人の被験者が先導する人と追従する人に分かれ、それぞれの装置を動かすことで、二つのパートを持つ曲を演奏するという形になるようです。
論文では実際に実験を行い、先導者役と追従者役に応じて演奏の同期が変化したり、非音楽家でも音楽家の演奏に見られるように低音担当がより同期に影響を与えるといった結果が見られました。
そしてこれを踏まえて、音楽家を対象とすれば避けられない音楽訓練の影響を受けることなく、非音楽家を対象として音楽演奏と共演者との相互作用について研究できるだろう、と述べています。
Nitta N, Jito J, Nozaki K.
音楽に合わせて激しく頭を振るヘッドバング(headbang)によって硬膜下血腫が生じたという大変おもしろ…もとい珍しい症例の報告です。とは言っても、患者さんは赤ちゃんの頃にベビーカーから落ちて同じような血腫が生じており、今回はそれが再発したということらしいのですが、結論がふるってます。