90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

そのうちAKBバナナとか出そうな予感。

モーツァルトバナナ:“音楽熟成”で糖度アップ? 豊岡中央青果が出荷 /兵庫

◇「将来、京阪神にも」
 豊岡市福田の豊岡中央青果(鈴木栄一社長)は、音楽を聴かせながら熟成させたバナナを「モーツァルトバナナ」と名づけ、12日、出荷を始めた。
 食品の熟成過程で音楽をかけると糖度やうま味がアップするという「音楽熟成」を提唱している日本音楽熟成協会(米子市、杉原弘一郎理事長)の協力で始めた試み。
 今年3月に建て替えたバナナ熟成庫にスピーカーなど音楽設備を設け、フィリピンなどから輸入された青いバナナを1週間かけて熟成させる際、庫内にモーツァルトの音楽を流し続ける。熟成したバナナは、コウノトリがタクトを振っているラベルを付けて青果店などに出荷される。
 同様の試みは鳥取や宮崎県でトマトや日本酒、食肉、うどんなどに取り入れられているといい、鈴木社長は「ブランド力を高め、将来は京阪神などにも出荷したい」と話している。【皆木成実】
〔但馬版〕


疑問文でごまかさずに糖度計で測れば分かるでしょ、というツッコミは置いておくとして、
日本音楽熟成協会なんていうのがあるんですね。知らなかった。


トップページからいきなりアレですが、ごあいさつのページもなかなかのものです。
また、鳥取大学医学部と共同研究をしているようでサイトに「研究報告」というページも
作っていますが、初歩的なグラフの書き方に関するツッコミは置いておくとして
(大学の人が作ったとは思えないですが…)、データ自体もなんだか妙です。


疲れに関連した尺度(眠気、不安、不快、だるさ、ぼやけを10点満点で評価?)の5日間の
変化を追ったデータがグラフになっています。それを見ると、モーツァルトを聴かせない職場
では初日の頭からいきなり眠気以外の評価が8点以上になっているんですが、これは何が
あったんでしょうか。そのほかにも、ぼやけ感(なんですかこれ?)が10点満点という日が
あったり、「だるさ感」が平均して10点中8点くらいだったりします。


えーっと、大丈夫ですよね?労働基準法は守ってますよね?




また、「本来、就労者の疲労度は朝方が低く、だんだん疲労が蓄積されて夕方の終労時
まで上昇していきますが」と説明があり、それは間違いないだろうと思うのですが、
グラフを見ると意外とそうは見えません。さらに、一人だけ疲労度がものすごく減少して
いる人がいます。私にはデータの妥当性うんぬんよりも、この人に何があったのか
気になって仕方ありません。


そして何より、疲労度やストレス「だけ」が減ったならいいでしょうが、単純に仕事の手を
止めて音楽を聴く時間が増えたという可能性も考えられます。




このページだけでご飯3杯いけそうなくらいツッコミどころがあるのですが、鳥取大の方も
どうせやるならキチッとやればいいのに、中途半端にやるからエセ科学の片棒を担いでいる
ような印象を受けてしまいます。


しかも人間に対して「音楽熟成」って。腐って(ダメになって)いくという事でしょうか。
そういう意図があるなら良いですが、そうでないならもう少し言葉は選ばないと。




ニュースの話とは関係なくなってしまいましたがムリヤリ戻すと、モーツァルトを聴かせる
ことで牛がよく乳を出すようになったとか、日本酒がおいしくなったとか、マスコミを通じて
たまに聞きますが、キチンと調べた研究はあるのでしょうか。糖度が…という話なら実験で
すぐに分かると思うのですが。機会があったらいつか自分でも実験してみたいものです。
もし本当に音楽を聴かせるだけで食べ物がおいしくなったりしたら、お手軽でいいですしね。