90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

ReadCubeとMendeleyで快適な論文ダウンロード生活。

みなさまお元気でしょうか。こちらは暑さにぐったりしながら生きています。
Twitterをやっていると、いい情報があってもついそちらでつぶやいてしまって、
こちらのブログに書く事がなくなってしまいますね…


さて、今日はそこをなんとかブログに書けるようなネタを見つけてみました。


みなさまは論文をどのように管理しているのでしょうか。
私の希望としては、

  1. 1. 複数の検索サイトを使えること
  2. 2. PDFを簡単にダウンロードできること
  3. 3. PDFをすぐに読めること
  4. 4. タグ管理ができること
  5. 5. 複数のパソコンでPDFや書誌情報を同期できること
  6. 6. 引用文献リストの作成機能がついていること

これらができれば満足なのですが、やはり一つのソフトで全てを満たす
ようなものは見つからず、PubMedで論文を検索して出てくるページ



これをGoogle Chrome用のClearlyというプラグインでEvernoteに送り、
それに論文PDFを添付してノートを作るという方法を使っていました。
これだといちいちPDFを開かなくてもアブストラクトは読めますし、
Evernoteだから複数のパソコンでの同期は問題ないものの、わざわざ
ChromePubMedを開いてEvernoteに保存した後でさらにノートの
名前を変えたり、タグをつけたり、論文PDFを一度デスクトップにダウンロード
してファイル名を変えて、とけっこう手間がかかっていました。


最近になってReadCubeが登場しましたが、レイアウトがおしゃれなので
使ってみました。



これはPubMedだけでなく、Google ScholarやMicrosoft Academic
Searchも検索することができ、また検索結果をリストとして保存したり
PDFがダウンロードできる環境であればワンクリックでダウンロードが
できるという大変便利な機能を持っているのですが、残念ながら引用文献の
リストを作成するための機能がなく、とても惜しい感じでした。


そのため、不便に感じながらも惰性でEvernoteを使っていたのですが、
ReadCubeとMendeleyを組み合わせるというのをこちらの掲示板
発見して試したところ非常に快適だったので、今はもっぱらこちらの
方法を使うようになりました。


方法はサイトを読めばすぐわかるほど簡単ですが、一応説明しますと…

まず普通にMendeleyとReadCubeをインストールして使えるようにします。
ReadCubeではPDFをダウンロードするフォルダを指定できるので、これを
適当な場所に指定します。Mendeleyには特定のフォルダを常に監視して
PDFが保存されたら自動的に登録するというWatch folderという機能があるので、
Mendeleyで「Tool」→「Options」→「Watched Folders」に進んで、



先ほどReadCubeで設定したダウンロードフォルダを指定すれば、ReadCubeで
ダウンロードしたファイルが自動的にMendeleyに登録されます。


さらにMendeleyには、保存したPDFのファイル名を自動で変更するという
機能があります。Mendeleyで「Tool」→「Options」→「File Organizer」
に進んで…


これらを設定した後で、ReadCubeの方でダウンロードしたPDFの
保存場所をMendeleyでWatched folderに設定したフォルダにすれば、
ReadCubeでPDFをダウンロードするだけで、論文PDFが書誌情報付きで
勝手にMendeleyに登録されて、PDFファイルの名前も勝手に変えてくれる
という事になります。


これだけでも便利になったものですが、次は複数のパソコンでMendeleyを
同じように使いたくなりますよね?


Mendeleyは別のパソコンからもPDFにアクセスできるようオンライン上に
ファイル保存用スペースが用意されていますが、現在容量は2GBしか
ないようです。また、PDFは共有できるものの、Mendeley自体は個々の
パソコン上で動いています。これを、もっと容量の大きいストレージに
PDFを保存して、さらに複数のパソコンでMendeleyの共有ができないかと
調べてみたら、いくつか方法が見つかりました。


ひとつ問題点として、Mendeleyでは実際のPDFと書誌情報などが書かれた
メタファイルが別の場所で保存されるらしく、両方が共有されるようにしないと
いけないようです。


これをするためには、任意のフォルダを共有できるSugarSyncが便利です。
SugarSyncを使った方法はこちらのサイトに書かれていますが、簡単に
説明すると…


PDFファイルはSugarSyncで共有するフォルダにいれて、Mendeleyの方で
「Tool」→「Options」→「File Organizer」に進み、「Organize my files」に
チェックを入れてこのフォルダを指定すればOK。メタファイルは、Windows7なら
C:\ユーザー\"ユーザー名"\AppData\Local\MendeleyLtdに入っているので、
このフォルダもSugarSyncで共有する設定にすればOKです。



上の画像でも「SugarSync」(PDFのフォルダ)と一緒に「Mendeley Ltd」が
共有されているのが分かると思います。


ただこの「Mendeley Ltd」というフォルダはMendeleyをインストールすると
必ずパソコンに作られるので、ホスト側とクライアント側でMendeleyの設定が
違っていたりすると面倒くさいことになるかもしれません。、


SugarSyncは共有するフォルダを自由に選択できるのでこの方法でOKですが、
DropBoxを使った方法についてもこんなサイトがあります。
ちょっと面倒くさいような(汗)




(追記)
SugarSyncを使って快適ダウンロード生活!と調子にのって色々使っていたら
あっという間にSugarSyncの容量が限界に来てしまいました…


それなので、今度はメタファイルだけSugarSyncで共有して、PDF自体は
SkyDriveを使って共有しようとしているのですが、なぜかMendeleyが
強制終了して再起動しなくなったり、再インストールしても起動しなかったりと
苦戦中です。もしうまくいくようになったらまたブログで報告するかもしれません…

音楽の脳科学に関する論文集 vol.60

さて…


かなり久しぶりとなりましたが、私は元気でやっております。
所属していたプロジェクトが残念ながら解散が決まり、ブログなんて
書いている場合じゃないーと公募に出したり論文書いたりしていました。
3月まで次の職場が決まらずかなり緊迫した状況でしたが、結局は共同研究
でお世話になっていた京都の研究室に残ることになりホッとしています。


またここも2年後にはどうなっているか分からんのですが…(汗)


とりあえず時間のある時にはこのブログも進めていこうと思います。
というわけで、まずはリハビリとして音楽関係の特集号が組まれていたので
それをご紹介。


Topics in Cognitive Scienceという雑誌で、Trends in Cognitive Sciences
という超有名な雑誌と間違えそうな名前ですが、昨年の冬に音楽関係の特集号を
組んでいました。developmentやcomputational model、cross-cultureといった
観点もあり、ちょっと広い分野からの論文が集まっている気がします。



Topics in Cognitive Science
October 2012 Volume 4, Issue 4, Pages 467–794

Editors’ Introduction: Music Cognition and the Cognitive Sciences
Music Cognition and the Cognitive Sciences (pages 468–484)
Marcus Pearce and Martin Rohrmeier


Development and Evolution
Music Cognition: A Developmental Perspective (pages 485–497)
Stephanie M. Stalinski and E. Glenn Schellenberg

Musicality: Instinct or Acquired Skill? (pages 498–512)
Gary F. Marcus

Cognition and the Evolution of Music: Pitfalls and Prospects (pages 513–524)
Henkjan Honing and Annemie Ploeger


Learning and Processing
Implicit Learning and Acquisition of Music (pages 525–553)
Martin Rohrmeier and Patrick Rebuschat

Learning and Liking of Melody and Harmony: Further Studies in Artificial Grammar Learning (pages 554–567)
Psyche Loui

Music and Language Perception: Expectations, Structural Integration, and Cognitive Sequencing (pages 568–584)
Barbara Tillmann

Neural Mechanisms of Rhythm Perception: Current Findings and Future Perspectives (pages 585–606)
Jessica A. Grahn


Computational Modeling
Modeling Listeners’ Emotional Response to Music (pages 607–624)
Tuomas Eerola

Auditory Expectation: The Information Dynamics of Music Perception and Cognition (pages 625–652)
Marcus T. Pearce and Geraint A. Wiggins


Cross-cultural Perspectives
Music Perception and Cognition: A Review of Recent Cross-Cultural Research (pages 653–667)
Catherine J. Stevens

Cognitive Science and the Cultural Nature of Music (pages 668–677)
Ian Cross


Conclusion
Two Challenges in Cognitive Musicology (pages 678–684)
David Huron


もうひとつ違うテーマでいくつか論文が特集されていましたが、これは音楽とは
関係なさそうなので割愛しました。


さて次回はこの特集の最後にあるHuronさんの論文でもレビューしようかな、と
思いながらTrends in Cognitive Sciencesのサイトを見たらNeurochemistry of Music(PDF)というレビューが出ているではないですか。
こっちの方が面白いかなぁ。

ムーディなマクドナルド?

今日は時間がないので簡単に…

Softer Fast Food Restaurant Lighting and Music Can Cut Calorie Intake 18 Percent
(Science Dailyより)


ムーディなレストランでオシャレにディナーを…なんていいますが、
こういうときは普段よりもついついお腹いっぱいに食べてしまいがちです。


ところが調べてみると、抑えた照明と静かな音楽があるところで食事を取る時は
普段のレストランで食べるより量が減り、18%もカロリー控えめになる一方で、
食事への満足度は高くなる、という研究についての記事です。


これは特にファーストフードのレストランにとって重要な情報だろう、と著者の
Brian Wansnik教授は述べていますが、お店側にとっては、ムーディな
雰囲気にした方がいいのかしない方がいいのか微妙なところですね。


どうでもいいですが、Wansnik教授の研究室のwebサイトが良い感じです。



A Little Music Training Goes a Long Way: Practicing Music for Only Few Years in Childhood Helps Improve Adult Brain
(Science Dailyより)


先週のJournal of Neuroscienceに載った論文についての記事です。
聴性脳幹反応(ABR)という、音に対して脳幹部で生じる活動がありますが、
これは聞こえてきた音と同じ様な形で反応するそうです。つまり、1000Hz
の音を聞かせると同じ様に1000Hzの波形が見られるし、「da」という声を
聴かせると、その波形と同じような活動が見られるというらしいです。
たしか…(汗)


論文では異なる量の音楽経験を持つ人々に対して音に対するABRを
測定したところ、音楽経験が多いほど音に対する反応がきれいに
見られたということです。


この研究はNorthwestern大学のNina Kraus教授の研究室で行われ
ましたが、Kraus教授はABRを用いて多くの論文を出しています。
記事によると、彼女は「現在のあなたを作るのは過去の自分である」
というのをテーマにしており、今回の研究もこれを裏付けるものだ
と述べています。

音楽と鳥の歌は無関係だった!?

Birdsong Not Music, After All
(ScienceNOWより)

鳥の歌をまねたのが音楽の起源だという説がありますが、実際に聞いてみると
確かに歌っているみたいに聞こえますよね。



鳥の歌と音楽との関連性についてはこれまで色々なところで色々な人が色々な
事を言ってますが、科学的な手法で確かめた人はほとんどいませんでした。
で、統計的な手法を使って調べてみたのがこちらで紹介されている研究です。


ナイチンゲールという鳥はサヨナキドリとも呼ばれ、とても美しい鳴き声で
知られています。この鳥の鳴き声は主に周波数だけを変化させているそうで、
この研究では、ナイチンゲールの鳴き声における周波数変化の幅がどれだけ
和声的な音程(完全5度など)に近いかを調べました。また比較対象として
クラシック、ジャズ、ポップスからいくつか曲を選び、それらについても
音程の幅がどれだけ和声的なものに近いかを調べました。


分析の結果、ナイチンゲールの鳴き声はほとんど和声的な音程になっておらず、
音楽的な音程とは無関係であることが示されました。この結果について、
音楽研究の大家であるRobert Zatorre教授は「我々が全く知らない外国語を
聞いたとき、自分の母国語で似たような響きの言葉として認識する(いわゆる
空耳ですね)ことがあるが、同じようにナイチンゲールの鳴き声も、我々が
使う音楽の音程に似ているところだけを取り出して、音楽として聴いている
のではないか。」と述べています。


個人的には音楽と鳥の歌には関連性がないだろうと思っているので、この結果
についてもふーんという感じではあるのですが、この研究については、記事中に
コメントがあるように、鳴き声を比較したのが西洋音楽で和声的とされる音程
だけなので、この研究からすぐに音楽と鳥の歌とは関係ないとは言えません。
その意味ではこのScienceNOWの記事のタイトルは大げさ過ぎで、いわゆる
「釣り」タイトルと呼べるでしょう。そしてそれにまんまと乗ってしまったのが
私というわけですね(笑)

音楽の脳科学に関する論文集 vol.59

気がついたら8月ですね…(遠い目)
さて今回は論文というかエッセイの紹介です。

Using science songs to enhance learning: an interdisciplinary approach
CBE Life Sci Educ. 2012 Spring;11(1):26-30.[Free article]
Crowther G.


小学生のころ九九を覚えるための歌というのがありました。
こんなやつ。


このように音楽を使って教育を行うことは、小学校くらいではけっこう身近ですが
大学生くらいになるとほとんど見ることがありません。このエッセイでは教育に
音楽を導入することの効果について、著者自身の経験を踏まえて述べています。




音楽が教育に影響を与える可能性:
1. 記憶を促進させる?
事柄を覚えやすくするため、いわば記憶術として歌を使うというのが一般的な
利用法だと思いますが、九九の歌に代表されるように、この方法はやはり記憶を
促進するようです。最近のレビューでは、ほかの記憶術と比べても音楽として
覚えた方が正確であると述べられています。音楽は感情も刺激するので、
そういった点からも記憶に残りやすいのかもしれません。


2. ストレスを軽減する?
科学の授業といえば白衣を着て実験をするといったイメージがありますが、
そうした普段とは異なる環境に置かれることで、学生がストレスを感じる
こともあるかもしれません。音楽には心拍や呼吸、血圧を下げる効果がある
ことが知られているので、そうしたストレス軽減の効果も、音楽を使う
ひとつのメリットとして挙げられるのではないでしょうか。


3. 複数の感覚を刺激する?
何かを勉強するとき、ただ覚えるよりも声に出してみたり自分で書いたりと
色々な手段を取った方が覚えやすいということがよく言われます。これは
覚えるときに脳のいろいろな場所を活動させた方が記憶に残りやすいだろう
ということなのですが、音楽も脳のいろいろな場所に活動を引き起こします。
(音楽をただ聴くだけでも、聴覚だけでなく運動に関連した場所が活動する
ことが報告されています)。この点からも音楽が勉強に良い効果を与える事が
期待できそうです。


4. より楽しめる?
私たちは楽しいことをするときは時間を忘れるほど長続きしますが、音楽を
使うことで勉強が楽しくなれば、必然的に勉強時間が増えることが期待できる
でしょう。実際に調べたところでは、音楽を使うことで授業が楽しかったと
いう生徒の反応が見られたようです。


5. 内容の深い理解につながる?
ある事柄を自分の言葉で説明する(writing to learn)ということが、その事柄の
より一層の理解につながることが知られていますが、自分たちでscience songを
作ることも、例えばどのような言葉を使って歌詞を作るかといった作業によって、
勉強した事柄を一層理解することになり、これと同じ効果が見られることが
期待できそうです。




実際の教育現場で見られる音楽の効果:
上で述べた仮説のいくつかについては、実際の教育現場でも実現可能だろうと
言われています。実際に検証してみた研究もいくつかありますが、まだ試行錯誤
というか予備実験のような段階で、きちんとした追試が必要だと著者は述べて
います。


音楽が教育に良い効果を与えることを明らかにするためには、どのような介入が
教育に効果を与えるか、また何を測定すればいいのか、といった方法の面について
洗練させる必要があります。測定するものについては、例えばどれだけ九九を
覚えられたかを九九の歌を使う群と使わない群で比較すればいいでしょうが、
もっと複雑な概念理解における音楽の効果を調べるといった場合については、
気をつけないと結果の解釈を間違う可能性もあります。


とはいえ、面白い研究もいくつか見られるようになってきており、先に述べた
仮説の検証だけでなく、生徒のキャラクターと音楽との相性や、短期的な効果
だけでなく長期的な効果についても調べる価値はあるでしょう。ただ研究方法に
ついて言えば、一人の教師がある特定のクラスを対象とした研究が多いので、
実験デザインに含まれるバイアスを除くためにも、複数の教師によって大勢の
クラスを対象として行った方がもっと正確に音楽の効果を調べられるのでは
ないでしょうか。


実践のために
実際に教育現場でどのように音楽を利用するかについては、単に面白い歌が
あると生徒に教えることから、生徒に自分で歌を作ってもらうことまで、
様々な方法があります。SingAboutScience.orgというwebサイトにはなんと
6000曲以上(!)の科学についての歌が登録されているようです。


では、特に音楽が効果的であるような教育のトピックはあるのでしょうか。
著者は、概念的な誤解や情報が持つ階層構造がつかめないといったときに
音楽が効果的だと考えているようです。そういった状況になったときに
歌を歌ったりあるいは自分で歌を作ったりすることで、それまで自分で
理解したと思っている概念などを新しい視点で見ることができ、理解が
深まるのでしょう。


1. 別の誰かが作った歌を使う
音楽を使って教えるためのアドバイスは、すでにいくつかの論文で示されて
います。著者自身が音楽を使う理由としては、教える内容について興味を
持たせるためや、何か特別に重要な事を生徒に覚えさせるため、また個々の
生徒たちに疎外感を与えないため、そして優秀な生徒を逃がさないためと
しています。


2. 生徒に自分たちで歌を作らせる
スタンフォード大学にはヒップホップで生物学を教える先生がいますが、
彼の講義などは実際に学生に歌を作らせる際のヒントとして使えそうです。
彼は学生に対して自由に言葉を言わせるフリースタイルという方法や
"alphabet method"(アルファベットで韻を踏ませることでしょうか?)
などいくつかの方法を使っています。



自分で歌を作らせる中で最も楽しい段階は、歌詞にメロディをつけるとき
でしょう。ヘンな組み合わせもそれはそれで面白いですが、やはり真面目に
科学的なメッセージをうまくメロディに乗せることを考えるべきです。
「Here Comes Science」というCDには、様々な工夫をこらして歌詞の内容
と音楽とをマッチングさせた曲がたくさん入っています。


さすがに学生の作る音楽はパッとしないものがおおいですが、それでもたまに
素晴らしい作品が出来上がることがあります。こうして作られたものは、
授業で歌うだけでなく、文字通り"take-home message"となって、学生は
家に帰ってからも何度でも歌うようになるでしょう。




音楽による教育に対する障害
音楽を教育に使うとしたら、最近の曲を使うのもいいかもしれません。
しかしこれは著作権の問題が絡んできます。アメリカの著作権法では、
別の歌詞に変えた曲については授業においてだけ使うなら問題はなさそう
ですが、授業以外で使うとなると問題がありそうな感じです。


また、学生それぞれの音楽の好みが違ったらという問題もあります。
個々の学生のために別々のジャンルで音楽を作ってやる必要があるので
しょうか?著者は、可能であれば学生に自分の好きなジャンルで音楽を
作らせる方がいいかもと述べています。


さらに、学生の誰もが音楽的な才能を持っているわけではありません。
自分には才能がないと思っている学生には、歌を作らせても苦痛なだけ
かもしれません。これについては、例えばグループ学習のような形にして
役割分担をさせるとか、下手でもいいんだという雰囲気作りをするとか、
いろいろと考えられているようです。あと、出来た作品を評価する基準は
曲自体の良し悪しではないということを明確にしておくのも重要です。


その他にも、教師側の能力などいろいろな不安要素はありますが、
いくつかの研究では、初めて導入したときからいきなりうまくいった
という報告もあり、このやり方がすぐに広まるとは言えないにせよ、
秘められた可能性は大きいものと思われます。






というわけで、論文というかエッセイをご紹介しましたが、ネットを
調べてみると、イギリスのBBCがこうした企画に手を出しているようです。
Youtubeで「science song」などのキーワードで検索してみると質の高い
作品がいくつも公開されています。日本でもNHKとかやってくれませんかね。


最後に、とてもカッコいいscience songをどうぞ。