90番目の夜

音楽と脳の研究紹介や、文献管理ソフトの人柱報告などしています。

音楽と鳥の歌は無関係だった!?

Birdsong Not Music, After All
(ScienceNOWより)

鳥の歌をまねたのが音楽の起源だという説がありますが、実際に聞いてみると
確かに歌っているみたいに聞こえますよね。



鳥の歌と音楽との関連性についてはこれまで色々なところで色々な人が色々な
事を言ってますが、科学的な手法で確かめた人はほとんどいませんでした。
で、統計的な手法を使って調べてみたのがこちらで紹介されている研究です。


ナイチンゲールという鳥はサヨナキドリとも呼ばれ、とても美しい鳴き声で
知られています。この鳥の鳴き声は主に周波数だけを変化させているそうで、
この研究では、ナイチンゲールの鳴き声における周波数変化の幅がどれだけ
和声的な音程(完全5度など)に近いかを調べました。また比較対象として
クラシック、ジャズ、ポップスからいくつか曲を選び、それらについても
音程の幅がどれだけ和声的なものに近いかを調べました。


分析の結果、ナイチンゲールの鳴き声はほとんど和声的な音程になっておらず、
音楽的な音程とは無関係であることが示されました。この結果について、
音楽研究の大家であるRobert Zatorre教授は「我々が全く知らない外国語を
聞いたとき、自分の母国語で似たような響きの言葉として認識する(いわゆる
空耳ですね)ことがあるが、同じようにナイチンゲールの鳴き声も、我々が
使う音楽の音程に似ているところだけを取り出して、音楽として聴いている
のではないか。」と述べています。


個人的には音楽と鳥の歌には関連性がないだろうと思っているので、この結果
についてもふーんという感じではあるのですが、この研究については、記事中に
コメントがあるように、鳴き声を比較したのが西洋音楽で和声的とされる音程
だけなので、この研究からすぐに音楽と鳥の歌とは関係ないとは言えません。
その意味ではこのScienceNOWの記事のタイトルは大げさ過ぎで、いわゆる
「釣り」タイトルと呼べるでしょう。そしてそれにまんまと乗ってしまったのが
私というわけですね(笑)