ジストニアとか、耳コピが少し楽になりそうなニュース。
Brain Makeover.
(Scientific Americanより)
若い音楽家がタクシーの運転手にカーネギーホールまでの道を聞いたら
運転手は「練習、練習、練習だよ」と言ったという小話がありますが、
プロの音楽家ともなるとやはり毎日長時間練習しているんでしょうか。
トランペッターのセルゲイ・ナカリャコフは一日2時間しか練習しない、とか
前に聞いたことがありますが。
それはさておき、そうした大変な練習を長期間してきたような音楽家の中には、
指の動きにこわばりや引きつりが起こったり指に力が入らなくなったりして、
正確な指回しができなくなる人がいるそうです。これは局所性ジストニアと
呼ばれる疾患で、過剰な手指の反復動作や演奏中の悪い姿勢などが
原因の一つとされています。
これに対する治療として鍼や薬物、ボツリヌス注射などが行われていますが、
Scientific Americanの記事には、ジストニアのピアニストに対して指の筋肉に
振動刺激を1日15分与えることですぐに改善が見られた、と書かれています。
また、経頭蓋磁気刺激(TMS)を使ってそれぞれの指に対応した脳部位を刺激し、
それで生じる指の筋電位を測定したところ、ジストニアの人は別の指の筋肉まで
反応したのに対して、振動治療を行った後はそれが抑えられたということです。
結局のところこの治療は対症療法ですが、うまく使えば練習量をそれほど
大きく減らさないままでも直せる可能性もあるのかもしれません。
Method developed to identify musical notes at any venue
(EurekAlert!より)
音感のない人にとって、曲を聴いて楽譜に起こすのはとても大変なことですが、
最近では耳コピ用のフリーソフトもあったりします。(これとかこれとか)
この記事では、楽器や演奏者やジャンルの違いに関係なく、ソロ演奏の
WAVファイルから自動的に音を拾ってMIDIファイルにする方法についての
論文を紹介しています。
音楽情報処理の研究についてはよく知らないのですが、楽器固有の音の倍音構造を
利用して音高を判断するっぽいです。今のところは単一の楽器のWAVファイルしか
うまく出来ないようですが、楽器の種類と、その楽器でドレミを演奏した際の
スペクトルパターンがあらかじめ分かっていれば、まあ出来そうな気がしますね。
今後は複数の楽器の音が混ざっている場合でも使えるようにするのが目標の
ようですが、考えてみると人間はこれを難なくこなしているんですよね…
まだまだ機械は人間に勝てないようです。